要介護度別に見る訪問介護サービスの利用限度額

要介護度別の利用限度額をイメージした家とゲージのイラスト 費用・介護保険制度

訪問介護をはじめとする介護保険サービスは、要介護度に応じて1か月に利用できる上限額(区分支給限度基準額)があらかじめ決められています。この上限を知らないまま複数のサービスを組み合わせてしまうと、思わぬ「全額自己負担」が発生することもあります。この記事では、要介護度別の利用限度額の目安と、限度額を賢く使うためのポイントを解説します。

区分支給限度基準額とは

区分支給限度基準額とは、介護保険から給付を受けられる1か月あたりの利用上限のことです。要支援1・2、要介護1〜5という要介護度の区分ごとに「単位数」という形で定められており、この単位数の範囲内であれば、所得に応じた自己負担割合(1〜3割)でサービスを利用できます。

1単位あたりの金額はサービスの種類や地域によって異なり、多くの地域で1単位=10円が目安ですが、人件費の地域差を反映して東京23区など一部地域では1単位=11.40円など、やや高めに設定されています。なお2026年6月の介護報酬改定でも、区分支給限度基準額の単位数自体に変更はなく、2019年10月から適用されている単位数がそのまま使われています。

限度額の対象になるのは、訪問介護・訪問看護・通所介護(デイサービス)・福祉用具貸与など、居宅サービスの多くです。一方で、住宅改修費や特定福祉用具購入費、施設サービス(特別養護老人ホームなど)は別枠で扱われ、この限度額には含まれません。

要介護度別の支給限度額一覧

要介護度が上がるほど、心身の状態に応じて必要なサービス量が増えるため、限度額も高く設定されています。1単位=10円で計算した場合の月額目安と、自己負担割合が1割の場合の自己負担額の目安は以下の通りです。

要介護度 単位数(月) 月額限度額の目安 自己負担(1割)の目安
要支援1 5,032単位 約50,320円 約5,032円
要支援2 10,531単位 約105,310円 約10,531円
要介護1 16,765単位 約167,650円 約16,765円
要介護2 19,705単位 約197,050円 約19,705円
要介護3 27,048単位 約270,480円 約27,048円
要介護4 30,938単位 約309,380円 約30,938円
要介護5 36,217単位 約362,170円 約36,217円

※上記はあくまで目安の金額です。実際の自己負担額は、お住まいの地域の1単位あたりの単価や、本人の所得に応じた自己負担割合(1〜3割)によって変わります。正確な金額は、担当のケアマネジャーや自治体の窓口に確認することをおすすめします。

要介護度別の区分支給限度基準額を示す棒グラフ図解

限度額を超えるとどうなるか

1か月の利用単位数が区分支給限度基準額を超えた場合、その超えた部分は介護保険の給付対象外となり、全額が自己負担になります。例えば要介護2(19,705単位)の方が、月に20,705単位分のサービスを利用した場合、超過した1,000単位分は1〜3割ではなく全額を自分で支払うことになります。

実際には、ケアマネジャーがケアプランを作成する際に、限度額の範囲内に収まるようサービスの種類や回数を調整してくれるため、知らないうちに大幅な超過が起きるケースは多くありません。ただし、訪問介護の回数を増やしたい、デイサービスと福祉用具貸与を両方使いたいなど、家族側からの希望が多くなるほど限度額に近づきやすくなるため、目安を知っておくと相談がスムーズになります。

限度額を上手に使うためのポイント

  • ケアマネジャーに希望と優先順位を伝える——「入浴介助を重視したい」「通院の付き添いを増やしたい」など、家族として大切にしたい部分を具体的に伝えると、限られた単位数の中でも優先順位をつけたプランを組んでもらいやすくなります。
  • 複数サービスの組み合わせは事前に相談する——訪問介護・訪問看護・通所介護・福祉用具貸与などを併用すると、それぞれの単位数が合算されて限度額に近づきます。組み合わせを検討する段階でケアマネジャーに相談しましょう。
  • 状態が変化したら区分変更申請を検討する——心身の状態が悪化して必要なサービス量が増えた場合は、要介護度の区分変更申請を行うことで、より高い限度額が適用される可能性があります。
  • 限度額を超える分は自費サービスとの併用も選択肢——どうしても限度額を超えてサービスを利用したい場合は、超過分を全額自己負担で追加するか、民間の家事代行・見守りサービスなどを組み合わせる方法もあります。費用と必要性のバランスを見て検討しましょう。

よくある質問

Q. 状態が変化して要介護度が変わったら、限度額はすぐに変わりますか?

A. 区分変更申請が認定されて新しい要介護度が決まった時点から、新しい限度額が適用されます。申請から認定まで時間がかかることもあるため、状態が変わったら早めにケアマネジャーや市区町村の窓口に相談しましょう。

Q. 限度額(円換算)は全国どこでも同じ金額ですか?

A. 基本となる単位数は全国共通ですが、1単位あたりの金額は地域やサービスの種類によって異なります。実際の限度額(円換算)の目安は、お住まいの地域の基準であらためて確認するとより正確です。

Q. 施設に入所している場合もこの限度額が適用されますか?

A. いいえ。特別養護老人ホームなどの施設サービスは、この区分支給限度基準額とは別の枠組みで費用が計算されます。この限度額が適用されるのは、訪問介護やデイサービスなど自宅で利用する居宅サービスが中心です。

Q. 限度額の範囲内なら、自己負担は一律1割ですか?

A. いいえ。自己負担割合は所得に応じて1〜3割となり、一律ではありません。ご自身の負担割合は「介護保険負担割合証」に記載されていますので、あわせてご確認ください。

まとめ

訪問介護をはじめとする介護保険サービスには、要介護度に応じた区分支給限度基準額が設けられており、要介護度が上がるほど利用できる上限額も高くなります。限度額の仕組みをあらかじめ知っておくことで、ケアマネジャーとの相談や家族の資金計画が立てやすくなります。サービスの組み合わせで迷ったときは、一人で抱え込まず、担当のケアマネジャーに希望を伝えながら一緒にプランを組み立てていくことが大切です。

訪問介護の基本的な内容や対象者については「訪問介護とは?サービス内容と利用できる人の条件」で、実際の費用感については「訪問介護の費用はいくら?介護保険の自己負担割合と月々の目安を解説」で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

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