訪問歯科と訪問介護は、どちらも自宅にいながら受けられるサービスですが、別々のサービスとして個別に手配していると、家族の負担が増えてしまうことがあります。一方で、2つをうまく組み合わせると、お口の健康と毎日の生活を一緒に見守れる体制がつくれます。この記事では、訪問歯科と訪問介護を併用するメリットと、併用を始めるときの進め方、費用の考え方をわかりやすく整理します。
そもそも訪問歯科・訪問介護とは
訪問歯科は、通院が難しい方の自宅や施設に歯科医師・歯科衛生士が訪問し、虫歯や歯周病の治療、入れ歯の調整、口腔ケアなどを行うサービスです。訪問介護は、ホームヘルパーが自宅を訪問し、食事・入浴・排せつなどの身体介護や、掃除・洗濯・調理などの生活援助を行うサービスです。
それぞれの詳しい内容は、訪問歯科とは?対象者・受けられる治療内容をわかりやすく解説と訪問介護とは?サービス内容と利用できる人の条件で紹介しています。
口腔ケアと体調管理はつながっている
高齢者にとって、お口の健康は食事の量や栄養状態、さらには誤嚥性肺炎の予防にも関わる大切な要素です。入れ歯が合わない、歯が痛いといったお口のトラブルがあると、食事の量が減ったり、やわらかいものばかり食べるようになったりして、体力の低下につながることもあります。
訪問介護スタッフは日常的に食事や体調の変化を見ているため、口の中の様子(噛みにくそう、痛がっているなど)に気づいた際に、訪問歯科への相談につなげやすくなります。逆に、訪問歯科での治療方針や食事の形態についてのアドバイスを、日々の食事介助を行う訪問介護側と共有できれば、より無理のないケアが可能になります。
訪問歯科でどのような道具を使い、どんな口腔ケアを行うのかは訪問歯科の口腔ケアとは?重要性と専門的ケアで期待できる効果で詳しく解説しています。
併用の具体的なメリット
- 情報共有がスムーズ:体調や生活状況について、歯科・介護双方の視点から把握しやすくなります。
- スケジュール調整の負担が減る:同じ時期に体調確認をお願いできると、家族が個別に日程を調整する手間が減ります。
- 変化への気づきが早くなる:複数の目で日々の様子を見てもらうことで、体調の変化に早く気づける可能性が高まります。

こんな場面で役立ちます
- 食事介助のときに「最近、入れ歯を外したがる」とヘルパーが気づき、訪問歯科で入れ歯の調整を受けられた
- 訪問歯科で「やわらかめの食事が合っている」とアドバイスを受け、ヘルパーの調理内容に反映できた
- 遠方に住む家族が、ケアマネジャーを通じて歯科と介護の両方の様子を把握できるようになった
このように、一方のサービスで気づいたことをもう一方に活かせるのが、併用のいちばんの強みです。
費用はどうなる?保険の仕組みの違い
訪問歯科と訪問介護は、費用の仕組みが異なります。
- 訪問歯科:治療費は主に医療保険で計算されます。要介護認定を受けている方は、歯科医師・歯科衛生士による療養上の管理や指導が、介護保険の「居宅療養管理指導」として加わる場合があります。
- 訪問介護:介護保険のサービスで、ケアプランにもとづいて利用し、自己負担は原則1〜3割です。
このように別々の制度で計算されるため、「片方を使うと、もう片方が使えなくなる」ということは基本的にありません。具体的な金額の目安は、訪問歯科の費用相場と保険適用の仕組みと訪問介護の費用はいくら?介護保険の自己負担割合と月々の目安を解説を参考にしてください。
併用を検討するときの進め方
まずはケアマネジャーに相談
すでに訪問介護を利用している場合は、担当のケアマネジャーに「訪問歯科も検討したい」と伝えるのがスムーズです。地域の訪問歯科クリニックを紹介してもらえることもあります。ケアマネジャーの役割は訪問介護のケアプランの作り方とケアマネジャーの役割で解説しています。
情報共有の方法を事業者にも確認
歯科クリニックと介護事業所が直接情報をやり取りできるか、あるいは家族やケアマネジャーを介して共有する形になるのか、事前に確認しておくと後々のやり取りがスムーズです。
訪問の曜日・時間帯を調整する
訪問歯科と訪問介護の時間が重なると、本人が疲れてしまうこともあります。食事の前後や入浴の日を避けるなど、本人の生活リズムに合わせて曜日や時間帯を調整してもらいましょう。
よくある質問
Q. 訪問介護を使っていなくても、訪問歯科だけ利用できますか?
A. はい、利用できます。訪問歯科は、通院が難しい方であれば、介護サービスの利用の有無にかかわらず相談できます。まずはお住まいの地域の訪問歯科クリニックに問い合わせてみましょう。
Q. 歯科と介護のスタッフが同じ日に来ても大丈夫ですか?
A. 本人の体調に負担がなければ問題ありません。ただし、続けて訪問があると疲れてしまう方もいるため、様子を見ながら調整するとよいでしょう。
まとめ
- お口の健康は食事や体力に関わるため、歯科と介護の両方で見守ることに意味がある
- 併用すると、情報共有・日程調整・変化への気づきの面でメリットがある
- 訪問歯科は主に医療保険、訪問介護は介護保険と、費用の仕組みは別々
- 始めるときは、まずケアマネジャーに相談するのがスムーズ
訪問歯科と訪問介護は、別々のサービスに見えて、実は日々の生活を支える両輪です。無理に一度にすべてを揃える必要はありませんが、どちらかを利用しているなら、もう一方についても相談してみる価値があります。


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